吉田松陰は19歳になると後見が解かれ、本格的に明倫館での指導を開始します。
20歳になると藩命により日本沿岸藩領の防備状況を巡視し、明倫館門人を率いて軍事演習を行いました。
21歳になった松陰は藩内だけでは飽き足らなくなり、日本国内の他藩を私費で外遊します。
まずは長崎で洋式砲術を学び、オランダ船に乗ったようです。
平戸では兵学者・葉山佐内のもとで、外国情勢について学びます。
この時松陰は後の行動を左右したであろう書物を、貪るように読んでいます。
具体的には、アヘン戦争の記事を集めた「阿芙蓉彙聞(あふよういぶん)」、フランスの砲術所「百幾撤私(ペキサンス)」、水戸藩の儒学者会沢正志斎の「新論(しんろん)」などです。
そして佐藤一斎の書物も読んでいますね。
「大学古本旁釈(だいがくこほんぼうしゃく)」「愛日楼文集(あいじつろうぜんしゅう」などです。
大学古本旁釈は、王陽明の『大学 古本旁注』に佐藤一斎の補釈を加えた書。
愛日楼文集は、佐藤一斎が生前に残した唯一の詩文集ですね。
この九州遊学中読んだ書物の数、びっくり致しました。
道中も含めわずか5ヶ月間。実に100冊を超えています。
当時の読書には書写がつきものでしたから、この100冊というのは超人的な数字ですね。
松陰は「近時海国必読書」(幕末の蘭学者の翻訳書や諸家の海防論数十編を編集したもの)など、海防に関する書物も数多く読んでいます。
熊本では、後の親友になる宮部鼎蔵と出会っています。
九州から帰ると、兵学修行のため萩藩から江戸へ派遣されます。
江戸では佐久間象山など当時随一といわれる学者の門を、端から叩いていきました。
このように吉田松陰は、兵学者としての道を一歩ずつ歩み始めたかに見えました。
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【余談】
松下村塾開塾150年記念・吉田松陰と塾生たち」という冊子があります。
編集は萩博物館。たぶん・・・10冊くらい購入しました。
見て、読んでい頂きたい方へのギフトやら、その他いろいろ・・・。
この冊子を購入したのは、姉妹都市交流で萩市へ伺った昨年の11月、立ち寄った萩博物館での学芸員をされている先生から、「吉田松陰先生絵伝」がこの冊子に掲載されていることを教えて頂いたのがきっかけでした。
「吉田松陰先生絵伝」を描いたのは松下村塾塾生の渡辺こう蔵の実兄で、松陰の誕生から刑死後まで、15の主要な場面が描かれています。
興味のある方は、萩博物館から取り寄せることができます。
さて、萩博物館の名学芸員さんから、面白いお話を沢山伺うことができました。
そのひとつ「萩は陽明学です。若者が動く原動力になりました。ひじちょうもくろんです。」
なんだ?ひじちょうもくろんて?????
ひらがなで「ひじちょうもくろん」で検索したら、すぐに出てきました。
飛耳長目録(ひじちょうもくろく)だったんですね。
吉田松陰ファンならずとも、知られていることだったようです。
飛耳長目 (ウキペディア)
塾生に何時も、情報を収集し将来の判断材料にせよと説いた、これが松陰の「飛耳長目(ひじちょうもく)」である。自身東北から九州まで脚を伸ばし各地の動静を探った。萩の野山獄に監禁後は弟子たちに触覚の役割をさせていた。長州藩に対しても主要藩へ情報探索者を送り込むことを進言し、また江戸や長崎に遊学中の者に「報知賞」を特別に支給せよと主張した。松陰の時代に対する優れた予見は、「飛耳長目」に負う所が大きい。
「飛耳長目」の出典は「管子」(春秋時代斉の管仲)の「九守」の一節、「一曰長目、二曰飛耳、三曰樹明、明知千里之外、隠微之中」(一に曰く長目、二に曰く飛耳、三に曰く樹明、千里の外、隠微の中を明知す)だそうです。
管子は中国の春秋時代、斉の政治家なんですね。
世界大百科事典
彼(管子)の政策は,内政では商業を重視して国を富ませるとともに,国民を軍国主義的に編成して兵力の強大化につとめ,対外的には諸侯の信頼を得ることを第一とした。
山鹿流兵学者としては、管子の「飛耳長目」を引用したくなったのでしょうか?
情報を収集し将来の判断材料にせよ、これは軍隊の日常業務ですよね。
自衛隊も日々この訓練を行っています。
http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/prcenter/p003.html
http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/prcenter/large/info_010.html
少々話がずれてしまいました。
この「吉田松陰先生絵伝」のなかに剣道の稽古が描かれているのですが、解説には「文武両道の気質のなか、剣術師範の平岡弥三兵衛に入門。しかし学問に打ち込むあまり、ほとんど稽古ができなかったという。」とあります。
ある意味ほっとします。
私の勝手な解釈ですが、きっと剣術は苦手だったんだと思います。
好きだったら時間作って頑張りますものね。
こちらもぜひご覧頂けると有難いです。m(_ _)m
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