地方財政がわからない人達の消費税増税論
昨日は尾崎行雄記念財団関連で永田町でした。
先ずは第15回咢堂塾の講義から。
自民党政務調査会調査役で日本論語研究会を主宰されている田村重信先生を講師に迎え、「日本の政治・安全保障―この国の形を考える」という演題で90分の講義をして頂きました。技術的な上っ面の政策議論ではなく、例えば小泉政権がなぜ長期政権になったのか本質的な部分を、まさに政策決定の事務方として傍に居たからこそのお話でありました。そして民主党の政治主導が引き起こした様々な弊害をバッサリ切って頂きました。
その後は咢堂塾のOB・会咢志会主宰の研修会。
前衆議院議員・自民党東京都第22選挙区支部長・伊藤達也先生の講義となりました。
演題は「「ユーロ危機と2012年日本経済の展望」です。伊藤先生は小泉政権時代に金融担当大臣・麻生内閣時代に内閣総理大臣補佐官など、年齢はお若いのに(私より2つお兄さんですね)要職歴任です。もったいないなぁ…こういう政策通を落選させるのは。
このお二人の講義を聞いて、地方政治の場に身をおくものとしても、「世界の中の日本」を考えざるをえないことを再認識致しました。
相馬先生、「世界の中の日本、日本の中の地域、あなたは何をするの?」ですね。
さて、タイトルの「地方財政がわからない人達の消費税増税論」。
昨日の先生方の講義を聞き、改めて危機感を覚えています。
消費税ありきで議論が進んでいるのはご承知の通り。
そこでの議論に一番欠落しているのは「地方の財政」なのです。
デフレを脱却せずに消費税増税に踏み切る怖さは、色々な方が指摘されているのでここで取り上げるませもありません。専門家のサイトをご覧頂いたほうが宜しい。
岡田克也副総理は、こんな発言をしています。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20120129-00000001-jnn-pol
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120129-00000089-mailo-l24
地方も身を削る努力を…岡田副総理が注文
岡田副総理は28日、津市で講演し、消費税率引き上げを柱とする社会保障・税一体改革に関連し、「(増税分の)5%は一定割合が地方に行く。『国は増税する以上、身を削れ』という議論があるが、地方も国民に負担をお願いするわけだから、同じように身を削る努力をしてもらいたい」と述べた。 消費増税に対する国民の理解を得るため、地方側も行政改革などを通じた歳出削減に取り組む必要があるとの考えを示したものだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120128-00000622-yom-pol
(読売新聞 引用)
はい、地方にも消費税からお金が入ってきてますよ。確かに。
地方交付税の原資である国税5税に入っていますしね。
地方交付税の原資
所得税の32%
酒税の32%
法人税の32%
消費税の29.5%
たばこ税の25%
地方交付税の原資は国税の一定割合となっているんですけれど、これは国が地方公共団体に変わって便宜的に一括徴収している地方税なんです。
もともと地方自治体のお金なんですけど?
岡田さん地方交付税制度勉強していないのかしら?
だいたい地方交付税の目的を知らないかも知れません。
地方交付税法 第1条(目的)
この法律は、地方が自主的にその財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を損なわずに、その財源の均衡化を図り、及び地方交付税の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保証することによって、地方自治の実現に資するとともに、地方団体の独自性を強化することを目的とする。
憲法に定めるところの地方自治法の本旨にのっとり、国が出すべきお金ですよ。しかももともと原資は地方税ですから。
それなのに国はお金が無いから地方交付税の一部を借金でまかなってくれる?という臨時財政対策債で資金調達させたり、いったい足りないお金って本当はどこに行ってるんでしょうか。
小泉政権の三位一体改革で、地方自治体はとてつもない歳出削減をしてきています。もう削る所がないというところまで削っているのですよ。財政健全化法に基づいて、本当に身を削りながら乾いた雑巾を絞るように…
総務省指導による集中改革プランの作成を、もはや忘れたとは言わせない。
国の示した単なる数字合わせのために、どれだけ苦労して財政運営を行なっているのか知らないとは言わせない。
法定受託事務の地方負担分があるということ、を知らないとは言わせない。
一般家庭において消費税が上がるということは、実質収入が減るのと同じです。
収入が減れば物を買わなくなるのは当たり前。
娯楽にお金を使えなくなって当たり前。
ましてや旅行なんて一番後回しでしょう。
過去のエントリー「またもや民主党政権の嘘」で書きましたが、
政府の間違った対応で地方経済はがたがたになってしまう。
「一般家庭の実質的な所得が減る」ことによる影響
まずあらゆる税金・料金の滞納が増えることが考えられます。
固定資産税。
住民税
国民健康保険税。
保育料。
上下水道料。
これらの歳入が減れば地方自治体の財政運営は厳しさを増します。
払いたくても払えない状況の中、税の公平性を訴えながら督促を出した所で、
絵に描いた餅でしかありません。
そして景気が悪くなることにより給与が下がりますよね。
税金や料金の算定基礎となる数値が低くなるんですから、
自治体の歳入が減って当たり前です。
減った税収分は地方交付税での穴埋めはあるものの、地方行政は運営できないでしょうから、減収補てん債の発行が余儀なくされます。
臨時財政対策債を発行の上に減収補てん債の発行です。
地方債の発行が財政健全化の足を引っ張っていることを知らないわけではあるまいに。
地方の財政は総務省から毎年出される、「地方財政計画」によって決められていきます。
民主党政権になってこの提出時期が何しろ遅い。
この地方財政計画に基づいて財政運営をしていく地方自治体は、
翌年度の財政計画を作ることに本当に苦労しています。
国が方針を示さないのですから。
しかも制度がコロコロ変わる。
うっかり乗ろうものなら、いつ梯子を外されるかわからない。
そんな信用出来ない政権に、いつまでこの国を任せなくてはならないんでしょうか。
ああ、ストレスたまります。
基礎自治体の財政運営を知らない人達が、
顔付きあわせて議論したところでまっとうな政策ができるわけがありません。
一層のこと国会議員や官僚は2~3年基礎自治体でしっかり勉強する制度でも、
お作りになったら宜しい。
基礎自治体の財政は法定受託事務以外の仕事は、ほぼ出来る余力がありません。
その上での消費税増税なのですよ。
基礎自治体を潰すおつもりならどうぞおやんなさい。
繰り返しになりますが、
私たち基礎自治体は小泉政権の三位一体改革で、
しっかりと歳出削減に取り組み継続してきています。
歳出削減をやらなくてはならないのは、国の運営に携わっている皆さん方なんですけど。
自覚ありますかね?
以下私の一般質問の議事録の一部(平成23年9月定例会)です。
私の考え方として参考までに…
○議長(大黒孝行君) 10番。
○10番(田坂富代君) もう少し話をしなきゃいけないと思いますが、この場では時間が足
りませんので、またおじゃまして十分議論をさせていただきたいと思っております。
そろそろ時間も押してきておりますので、まとめに入りたいと思います。
今回は下田市の財政見通しを踏まえ、財政の現状を公会計の財務諸表分析という点で議論
をさせていただきました。そして、その財政指標を生かすためにも、また、的確な判断をす
るためにも、事務事業評価と連動させる必要があるということもお話をさせていただいたと
ころです、見解の違いはありますけれども。重要なことは、この財政健全化と事務事業評価
が一体どこに向かうのかということです。役所の内部ではなく、外部へと向かうべき。数字
はうそはつきません。その背景をしっかり見る必要はありますけれども、大ざっぱな見方で
はなく、しっかりと数字の意味するものをとらえていただきたい。それが行政に携わる者の
責務だと思っています。
人口減少、少子化、高齢化、不景気、国の不安定な政策、財政の硬直化、下田を取り巻く
状況は大変に厳しい。しっかりと見れば見るほど気落ちがしてきます。本当にがっかりしま
す。しかしながら、そういう中でもさまざまな工夫で未来へつなぐことをしていかなくては
ならない。この事務事業評価によって、例えばワークシェアですとかアウトソーシングをし
て、行政が身軽になるということが最終的な目的ではないはずです。それによって雇用が生
まれ、人口流出に歯どめがかかるということが最終的な目的になるのではないかと思ってい
ます。
もう少し具体的な話をさせていただきますと、他市のことを取り上げて申しわけないんで
すが、財政再建団体になった夕張市、それがその後どうなったのか。下水道料金は10立方メ
ートル1,470円から2,440円に、下田市は1,000円ですよね。市民税の均等割が3,000円から
3,500円に、下田市は3,000円、そんなところだったと思います。雪おろしをする予算も削っ
て、それが原因かどうか知りませんけれども、雪の重みで図書館の屋根が一部崩落し、建て
かえができず、図書館はなくなりました。結果的に若い世代の人口流出に歯どめがかからず、
人口の1割が市外へ流出してしまった。納税者が少なくなれば、財政健全化はますます遅れ
ていきます。負のスパイラルということです。人口流出 は、まちがなくなることにほかなり
ません。我々のふるさとを、子供たちのふるさとを存続させるために財政健全化 をやってい
るわけです。行政改革をやったからといって、税金が安 くなるわけではありません。そうで
はないけれど、やらなくては未来につなげないからやるわけです。行政に私は夢は要 らない
と思っています。夢を追っていたから、主旨質問で申し上げたとおり、将来世代 にこれだけ
大きな負担を背負わせることになってしまった。増大し続ける扶助費、市民福祉に対 してし
っかり対応する、そのための歳入であるという考え方 をしていただきたい。このわかりにく
く、直接市民の利益にならないことこそ、それが行政の根幹なのですから、我々議会 だけで
はなく、市民の皆様に対しても、ぜひともより丁寧に説明をしていただき、公会計や事務事
業評価が単なるお荷物事業になるということではなく、実りある事業になる努力をお願 いを
いたします。事務方の長である副市長、ご答弁いただければお願 いします。
○議長(大黒孝行君) 副市長。
○副市長(渡辺 優君) 今、田坂議員から延々とセミナーに参加した結果の勉強を披露をし
ていただきまして、大変ありがとうございました。
聞きほれておりまして、答弁がということで急にふられたもんですから、今考えております。
議員言われたように、確かにこの公会計、事務事業評価、これからは大きなポイントにな
ろうかと思います。私も今考えております中で、1市3町の合併の議論をしたときに、その
自治体の目に見える危機、この議論を大変いたしました。そのときから、いや目に見えない
財産がそれぞれの自治体にあるんじゃなかろうかと、これを評価しなければ、例えば今後10
年間の事業を実施するときに、その配分だってうやむやになっちゃうよといったりなんかし
まして、あの当時にこういう公会計がしっかりと、財務諸表等々もできていれば、これはも
うもっともっと実のあった議論がされたんじゃなかろうかなというふうに思っております。
そうしたことで、今我々がこうやって聞かされて勉強するものなかなか酷ですけれども、
議員言われたように若い職員には、これからの時代この公会計絶対必要です。各自治体に必
要と同時に、これからは各自治体が皆さん同じような様式の中でつくれば、これは当然比較
ができます。議員も言われておりましたとおり、余りまだ多くの自治体で実施されていない
もんですから、数値は出たんですけれど、そして平均的な数値はここからここですよ、これ
はもう十分わかります。でも、その平均的な数値の中で、例えば下田のこの0.8とか90%と
かという数値がよその自治体と比べてどの程度違うのか比較できません。ですから、今後各
自治体がこの公会計の重要性を認識して、それぞれみんながつくられて、しっかりと比較が
できると、これは行政運営上大変な資料になるんだろうなというふうに思っておりますので、
しっかり若い職員に勉強をさせていきたいというふうに思っております。
○議長(大黒孝行君) 10番。
○10番(田坂富代君) 今日の議論を頭の片隅にでも置いていただいて、雑な予算のつけ方
になさいませぬよう、また地域経済をしっかり把握し、数字を読み込んで、必要な政策を立
てていただけますようにお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○議長(大黒孝行君) これをもって、10番 田坂富代君の一般質問を終わります。
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